ハワイ・ワイルドライフ・センター (HWC) ハワイ・ワイルドライフ・センター (HWC)
ハワイ・ワイルドライフ・センター (HWC) は、ハワイ在来種野生動物を保護するために多面的に活動する団体です。病気や怪我をしたハワイ在来種の鳥やコウモリを保護し、HWC施設で治療・リハビリを行い、野生に戻しています。また、HWCでは、ハワイ在来種の情報やその保護方法など情報を提供するコミュニティ機関としての役割も果たしています。HWC病院施設はハワイ島カパアウに所在しますが、HWCの地理的活動範囲はハワイ州全体に跨っており、オアフ島とラナイ島には小規模なサテライト施設もあります。
2022年はこれまでで最大の野生動物の保護・治療を記録し、ハワイ島カパアウの施設、オアフ島のサテライト施設、そしてHWCパートナー・プログラムを合わせると、ハワイ州全島で905件の病鳥・コウモリを受け入れました。2012年設立以来、年々保護されるハワイ在来種患者数は増加傾向で、3,500羽を超えました(コウモリは希少な患者で年に1~5羽ほどとなります)。生息しているハワイ在来種生物の多くは急速に減少しています。私たちは、傷ついたり、病気になったり、また人為的および自然的な理由によって孤児になったひな鳥などの存在を軽視することはできません。この現状を改善するために、私たちの医療サービスとリハビリテーション・ケアは、在来種全体の保護に大きく貢献しているのです。
HWCの保護のもとで自然界に戻った在来種の鳥やコウモリは、ハワイ地域自然社会を健全にするばかりでなく、ハワイ全島の生物多様性に貢献します。HWCは、脆弱なハワイ在来種生物への有害な影響を緩和するために直接的かつ迅速な行動を遂行するハワイ自然保護活動の全体的なメカニズムに不可欠な機関です。HWCの活動は、ハワイ環境保全システムの1機関として貢献しており、ハワイ在来種生息地の保護、捕食動物の駆除、調査などを行う他団体に目標と成果を共有しています。
活動目的
ハワイ在来種生物多様性保全支援のため、HWCは、救助のための専門知識や、最先端の獣医学的ケア、リハビリを提供しています。私たちのビジョンは、包括的な環境保全戦略とパートナーシップを通じて、あらゆる環境でハワイ在来種生物が回復し繁栄する世界です。私たちの使命は、実践的な治療、研究、トレーニング、科学教育、文化プログラムを通じて、ハワイ在来種野生生物を保護し、保全、回復に助力することです。
活動内容
HWCが言及するハワイ在来種への脅威は以下の通りです: 1) 人的影響、2) 気候変動による影響、 3) ハワイにおける組織的な在来野生生物対応ネットワークの不在、 4) 在来種生物に対する地域社会の無関心などが挙げられます。HWCは、人間と在来種生物の共存を助けるリソースを提供する活動を通じて、ハワイ諸島における在来種生物の絶滅傾向の回復と太平洋内に生息する在来野生生物の減少に歯止めをかけることを目的としています。
HWCは以下を提供しています。
1: ハワイ州全域に生息する在来種鳥類とハワイアン・ホアリー・コウモリ(ハワイ語:Ōpeʻapeʻa)の治療とリハビリ・ケア
2: ハワイ州主要8島とそのほかハワイ諸島での援助
3: 助けを必要とする在来種野生動物に遭遇した人々のストレスや不安の軽減(HWCは「野生動物派遣所」として、すべての野生動物ヘルプコールに対応し、通報者の適切な対応をサポートします。オフィスは年中無休で、あらゆる年齢、人種、属性の方からのお電話に対応しています。)
4: ハワイ在来種生物に関する知識を深める機会(HWCは、米国地質調査所などの政府機関、地元の大学、国立機関の研究者を支援しています。)
5: ユニークな教育の機会(未就学児レベルから大学レベル、そしてそれ以上のレベルまで、さまざまな教育プログラムを用意しています。HWCでは、野生生物保護活動に興味のある学生を対象にしたインターンシップやエクスターンシップの機会も提供しています。)
現在、アンバサダーのイオ(ハワイアン・ホーク)を訓練中で、将来的にアンバサダー・ホーク・プログラムを通じて更なる教育の機会の向上を目指しています。このプログラムの目標は、片目が不自由で自然界への復帰が不可能なマカイオ (Makaʻio) に、バラエティに富んだ食生活、定期的な健康チェック、充実した環境など、質の高い生活を提供することです。マカイオは地域社会と在来種を結びつけ、在来種の生物学、保護、文化に対する興味や学習意欲を育む手助けをしてくれると信じています。マカイオは、教育的な講演の間、人々のそばで快適に過ごせるように訓練されますが、一般の人が彼を撫でたり、パーソナル・スペースを侵害したりすることは禁じられています。
訓練や教育的な講演以外は、マカイオは鳥小屋で自由に飛び回ったりと好きなことができるように、HWCスタッフは環境づくりをしています。私たちはマカイオの奉仕に感謝し、マカイオのために、HWCの定住者として最良の生活環境を築き、文化的に適切な方法で彼を守っていきたいと思っています。HWCは、米国魚類野生生物局(許可番号:MBPER0039501)とハワイ州土地天然資源管理局(DLNR)の許可を取得しており、今後アンバサダー・ホーク・プログラムを遂行していく予定です。
HWC訪問について
HWCでは学生グループの訪問が最も多く、教育的なアクティビティや、当団体の野生動物保護活動や重要な保護問題に関するプレゼンテーションを行っています。教育プログラムは、建物正面の教育パビリオンで行われます。カパアウ施設のホオプラマ・サイエンス&ディスカバリー・センターは、体験型スペースで、在来種野生生物のリハビリテーション、保護、生物学、野生生物医学などを紹介しています。
また、その他の地域団体や観光団体の訪問にも対応可能です。ボランティア活動や企業CSR (企業の社会的責任) 訪問に関しては、その団体の訪問目的・状況(例: 人員配置等)により受け入れることは可能です。
すべての団体見学は、少なくとも1週間前までにご予約をお願いしています。病院内の病鳥・コウモリは治療のため、訪問中に見ることはできませんのでご了承ください。
館内展示物には、名工 内山治夫氏によるハワイアンミツスイの彫刻や、在来種の写真やビデオ、HWC病院のバーチャルツアー表示、インタラクティブなタッチスクリーンモニターの展示壁があるほか、原生植物園などもセンター内にあります。地元のアーティストによる鳥やコウモリをテーマにしたアイテムや、HWCロゴ入りグッズなどをギフトショップで販売しています。
沿革
- 2004
- カラヘオ高校卒業生リンダ・エリオットにより、ノース・コハラ・コミュニティ・リソース・センター財政支援のもと設立
- 2006
- 501(c)(3)非営利団体の資格を取得
- 2008
- HWC施設建設を着工
- 2011
- HWC施設完成
- 2012
- HWC施設オープン
- 2014
- クレ環礁とミッドウェー島でのレイサンマガモ・プロジェクトを支援
- 2020
- 2012年開院以来、1,000羽の病鳥を看護
- 2021
- 2,000羽の病鳥・コウモリを保護、治療
- 2022
- 3,000羽以上の病鳥・コウモリを保護、治療